お酒豆知識 : 居酒屋の1合徳利は1合入るのか?

先日私の日本酒の先生の記事を見ていたら、下記のようなやり取りがありました。

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飲食店における「偽一合と偽二合」を検証するため
300ccと一合と二合を注文!!…

その結果!!

一合徳利に入っていたのは150cc…
二合徳利に入っていたのは260cc…

本来一合というのは180cc 。
ここのお店ではボトルで注文したほうが
心身ともにお得でした(笑)
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周りの方々は「詐欺だ詐欺だ!」とのお声の中、ある方が一石を投じました。

----う〜む、おおかたの業務店では一合がただしく180のとこは少ないような気がします。慣習的にそれで主客良しとしているような感もありますね。

実はこの方のおっしゃる通りなのです。


通常飲食店の場合慣習として一合徳利は八勺燗といって150㏄です。陶器屋さんに「1合徳利」を複数持参してもらい測った経営者さんもいたようですが、180cc入る1合徳利はなく殆ど細身の八勺燗だったとか(徳利の姿はこちらの方が上品でキレイ)。
つまり業務用家庭用を問わず製品の慣習として現代の通称「1合徳利」は八勺燗150cc程度のものが多いのです。

う~ん これはどうしてなのか、いろいろ調べてみたらわかってきました。
0106-徳利
まず徳利はあくまで運搬貯蔵容器で枡のように測る器ではないため、明確な容量表示はなく容量的にはファジーなものだった。
昔は酒自体があまりアルコール濃度も高くなく、徳利が出来たのは江戸時代後半で元々は容量もかなり大きかったようですね。近世になって精製技術の向上でアルコール濃度が高くなってきたのと、大勢より少人数で飲む機会が増えたため器も小ぶりになっていったようです。
また陶磁器等の焼物の場合、収縮率に幅がある為に若干の誤差もでます。つまり徳利自体で正確に容量を計ることは難しい事もあるでしょう。
日本酒は冷やしても温めても美味しい世界でも珍しい酒。江戸時代の終わりに1合2合徳利と言った小さめの徳利が出来たのも燗をするためです。温めると液体の体積は変わりますね。いずれにしても徳利でお出しする時にいつでも正確な容量で量るのは難しいのかもしれません。

ちなみに「正1合の店」と銘打っているお店は「きちんと測って1合(180cc)出してます」という意味。それ以外は概ね150ccの器です。つまり通称1合徳利=180ccでお出しする店の方が少なく(1合きっちり入る徳利が既製品としてない、または少ない為)それこそ「正1合」入れることが魅力的な情報・広告として成り立つ位レアということです。

現在徳利を製造販売している会社では1合徳利2合徳利ではなく1号徳利2号徳利と呼ぶらしい。これを店舗では2合と混同して使うから誤解が生じるのでしょう。事実2号徳利は容量が2合とはかけ離れていることが多いです。2号徳利は【2合(360cc)】とも【1号徳利×2本分】とも違うコンセプトの容器という事ですね。

もし気になるなら「この徳利は180cc?」とお店で聞くとよいでしょう。1合(180cc)と書いてあるのに1合入ってなかったら、やっぱり腹立たしいものです。ちなみに当館ではお酒1本と表示し「これはどれくらい入ってる?」と聞かれたら150ccですと答えています。

まぁお酒飲みさんはおおらかな方も多いと思うので、この辺りは慣習としてあらかじめご理解頂き、楽しく飲んで頂けたらと思います♪
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