宿に求められているものは?

皆様は宿に何を求めますか?
手厚い仲居さんのもてなしですか。おしゃれで立派な建物とお部屋でしょうか。贅沢な食事でしょうか。
もちろん全てあれば言うことナシでしょうが、資金も湯水のごとくあるわけではなく。私共に最も求められているのは何なのか、一番大事なのはどの部分か?常に目を皿のようにして探して、考えて来ました。
最近特に思うのは、自分が出かけるならどうだろうと。
残念ながら「温泉に対する期待感」は「吉奈が一番」なので(笑)やや低め。でもやはり「源泉掛け流し」は当然大前提。料理は贅沢で美味しいものを食べるなら東京が一番ですから、基本はその土地の地物・おすすめ名物料理を食べること。まぐろには興味なし。食事・行動など宿のおすすめには基本的に乗っかる。その土地のスペシャリストなので、一番の楽しみ方を教えてくれるはず。仲居さんが多すぎるのは好まない。そもそも仲居さんが嫌い。お部屋食は仲居さんが入ってくるのがイヤなのでパス。オーナーが接してくれるのは嬉しい。場所ではなく、その人に会いに行ける場所が好き。お昼寝が出来たり、無駄時間を気持ちよく過ごせるスペースがあると良い。緑がいっぱいの山を眺めるのが好き。
古くから続く宿に生まれついて、約10年前より真剣に携わり始めました。時代は団体旅行から個人単位の旅行に移り変わる時。景気が急激に悪くなり、正直方向を見失いそうな時もありました。しかし、ここに来てやっと公的機関からも「よくがんばりましたね」と言われる様になり、専務も加わったことで大幅に改善しました。今改めて自分の位置を確かめ、もう一歩を進み出そうとしています。
ここ10年間多くの施設が、消えたり生まれたり。めまぐるしい変貌を見せています。これがクル!と言われたものが今はもう無く、雨上がりの筍のように投資会社に後押しされた再生旅館も出来ています。
その中で私達はどうあるべきか。いつも「長く生かされてきたには、何か意味がある筈だ」と思いながらやってきました。
だとしたら、やはり「変わらずそこに在る」ことが私達の役目かもしれません。地味に目立たず正直に。相手が誰であっても態度を変えることなく、宿としてお迎えする。不器用でも心を込めて接する事。岡本太郎さんと当館の波長があったのも、彼が常に言っていた「近代化するな、在るがままを大事に」という部分だったからかも。
お部屋食・和モダン・エステ・岩盤浴が流行った時もどうしようかと思いましたが、やっぱりウチのやることではないと判断しました。お部屋食はもともと個別の食事処なのに厨房から離れた客室に、わざわざ食事を運ぶことに抵抗があったから。和モダンはせっかく本物の歴史があるのでニセモノはいらない為。エステ・岩盤浴はお風呂が多いから、そんなに時間ありません。それよりは源泉にこだわり湯の品質保持に努力する。
料理はとにかく「美味しいこと」!地元の味を食べて頂くので、繊細に作りすぎてもちまちまして美味しくない。ざっくりたっぷりも楽しみの一つです。でも出汁の味は死守。
接客はあっさり系(仲居嫌いなので)。しかし必要な時は親切に詳しく対応出来るように。この雰囲気は皆がオーナーのつもりで察知すること。「遠方から友人が訪ねてくれた」「家族が帰ってきた」時のように心からお迎えする。これがさか屋の長年のポリシーです。お金の対価としてのサーヴィスとはちょっと違うかもしれません。
そしてなんと言っても温泉!ご存知のように伊豆では「源泉100%掛け流し」の温泉提供がほとんどありません。さか屋は昔から守ってきた源泉を、いかにそのままの形で楽しんで頂くかに苦心を重ねています。かなり手間が掛かる作業ですが、温泉から帰っておいでのお客様の顔を拝見すると、満足して頂いているのが手に取るように分かり「やはりこの方向で間違いないのだ」とほっとします。時には自然のものなので温度が下がりすぎることもありますが、これを加熱してしまったら温泉の意味が無くなってしまいます。ご了承頂けるとありがたく存じます。
「昔からやってきたことを、これからも同じようやっていく」それも難しくなりつつある現代ですが、それを踏まえて更に喜んで頂けるようがんばっていこうと決意を新たに致しました。
これからもどうぞ「御宿さか屋」を宜しくお願い申し上げます。
(2/12記)
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