「な)さか屋よもやまばなし」の記事一覧

静岡県の地場産品

静岡県庁産業部のマーケティング室からアンケートの協力依頼がありました。「宿でどれだけの地場産品を利用しているか」という内容です。地場産品も地元食材と地元伝統工芸品に分かれます。御宿さか屋は地場素材にこだわった料理を提供しているので、既に食材はほとんど地元のものです。しかし、備品・小物については、あまり意識した事がありませんでした。
↓ 写真は「中伊豆ワイナリー」で売っている地元の八百屋さん手作りのジャム。旨い!
1875-ジャム

静岡県は徳川家康のお膝元であり、最後の将軍が終の棲家とした場所。大河ドラマ「篤姫」でも最後のほうに出てきましたが、江戸とのお国替えで江戸侍達は徳川家に従い静岡にやってきたのです。世の中は戦乱がなく既に侍のお役目も無くなった為、彼らは新しい静岡と言う土地で刀の代わりに、職人仕事に就きました。静岡市は職人の町になったのです。

ありとあらゆる職人さんがいる静岡市。私の仲の良いお得意様には籐職人の女の子がいます。彼女の家の近所には椅子の張替え師さんがいます。とっても便利ですね。箪笥などの家具や駿河雛・雛道具も有名です。漆器・蒔絵・竹細工・指物・下駄も特徴的な品物が多い。

また静岡県はお茶の産地。花の産地でもあります。←これは気がつきませんでした。最近は切花よりも地元の方が自作の花々を分けて下さるので。そういえば平成16年には「浜名湖花博」も開催されましたね。

実は私自身、見本市やギフトショーにも行きますし、積極的に地元のものを取り入れようと探しているのです。しかし、なぜ静岡の伝統工芸品を備品に採用していないか改めて考えました。
「価格が高い」イメージがある。繊細過ぎて実用に耐えうるものか心配。あまりに昔の伝統工芸そのままを持って来ても、宿の中で浮いてしまうので、多少現代風に変化を加えたほうがなじむ。それぞれの作品を知る場所が無い。以前見本市で見かけたが、価格が高かった(多少割高でも地元のものを使おうと心がけても、それの予想を超えて価格が高い)。

昔の旅館はお金持ちで装飾に費用をかけられたでしょうが、このご時勢です。なかなか難しいですね。伝統技術も生かしつつ、もっとリーズナブルで一般の人が買える価格ぐらいの製品も作ってくれれば「宿で採用するのはもちろん、お土産としても販売できるのに」といつも考えてるのです。

宿は多くの県外の方が来る場所です。私共もなるべく「天城・中伊豆の特産品のわさび」とか「由比の桜えび」など、意識的に地元の素材を利用し啓蒙活動を含め宣伝に努めています。その方がお客様も喜ばれます。それにはやはり地元の生産者の方のご協力があって、成り立っているものと考えています。工芸品を作る方々にもぜひご協力頂けたら、ありがたいですね。

静岡県産業課では、次はこれらの地場産品を集めて見本市を開く予定とか。もう少し早く考え付いて欲しいとは思いましたが、ぜひぜひ参加したい、早く実現するよう待ってます。

天城の秋はけっこう賑やか

自宅と旅館とは500メートルほど離れているのですが、先日道路を横ぎるモノを見かけました。「あっ!あれリスだよ!」と社長が言ったので見てみると、まぎれもなくしっぽふさふさのリスです。
こうしてみるとけっこう付近には小動物が生息していますね。昔はうちのベランダでこんな写真が取れました。

1874-うさぎ
あの後姿は…うさぎですね。ベランダにあった水を飲みに来てました。うさぎ、いるんだ…用心深いのでめったに遇えませんが。

自宅の北側は山に面しているのですが、いのししは目があまり良くないのです。「がさささっがさっ!どしんっ!ごそ、ごそごそ!」と、夜中自宅の北側の壁にたまーにぶち当たって逃げていきます。鹿は山に食べ物が不足してくると、民家のすぐ近くまで堂々と来てしまいます。彼らが一番ふてぶてしく「なに見てんのよ!」状態でこちらを見つめ返してきます。

あとたぬきやハクビシンもいます。キジも鳴いています。けっこう賑やかです。山に入ると出会えるのではないでしょうか?ハイキングもおすすめですよ。

さか屋のバリアフリーへの取り組み

先日足を怪我した女将がシルク・ドゥ・ソレイユを見に行った話をしました。車椅子も貸してくれたし、昔よりずっとバリアフリーが実用段階に近づいているようです。

実はさか屋は昔、階段の宿でした。現在の2階から5階部分までずうぅっと階段。風情はありましたが、ちょっと実用的ではない。そこで、昭和50年に中伊豆で初めてエレベーターを付けました。これで、大変便利になりました。

もうひとつは「城下橋」。これは大正時代にかなり凝って作られた石造りのアーチ橋です。フロントからこの橋に続く十数段だけは、どうしても外せない。

そこで家庭用階段リフト(バリアフリーリフト)を付けました。これ非常に便利!これを設置してから女将は2回ほど足の怪我をしていますが、一番彼女が使っています。
1859-リフト
ちょっと足が弱いお客様でもこれがあれば大丈夫。毎回「大変楽でいいねぇ」と喜んで頂いております。駅で見かける「車椅子ごと運ぶリフト」と違って気軽に操作でき、場所もとりません。

この他大浴場と露天風呂の一部に手すりもついています。お食事もご希望があればイスとテーブル席がご用意できます。ベッドは運び込みも致しますが、ベッド設置のお部屋もございます。

最近おいでになったお客様に教えて頂いたのが、ベッドの手すり!これがあると起き上がりにとても便利なのだそうです。手術で入院した事がある方には経験があると思います。あの起き上がりは手すりがないとなかなか難しいのでした。
お客様はご自身でこれを当館まで発送して滞在されたのでした。
1860-手すり
これを既存のベッドに差し込んで使います。
こんな感じ! ↓  とっても簡単です。これがあるだけで全然違うのだそうで。
1861-手すりベッド
このお写真はお客様の手すりを撮影させてもらったものです。販売元はベッドメーカーでしたが、ネットで調べたら手すりを専門に作っている会社がありました。近いうちウチでも揃えようと思っています。

もうひとつ、先週お泊りのオーストラリアからのお若いカップルです。到着してみたら彼女が少しは歩けるけど基本車椅子での移動の方でした。事前連絡はなかったのでちょっと慌てましたが、彼女の元気な様子に「そうか、気軽に車椅子で海外旅行できちゃうんだ」と感動したのです。もちろん何の問題もなくスムーズにお泊り頂きました。海外から!車椅子で!日本語ほとんどNOで!来ちゃうんです。すごいですよね。心のバリアがないんです。私達の頭が固いだけなんだ・・・。彼女達からは反対に元気と希望をもらいました。

全館のっぺりとした完全バリアフリーの宿ではありませんが、多分ご想像よりもっと簡単な方法で、バリアフリーに取り組んでいます。足が弱いお客様こそ吉奈温泉に浸かって欲しいから、ぜひお気軽にお出かけ下さいませ。お待ちしています。

大名焼には衣装もございます

何のことやらさっぱりでしょう。実はさか屋の名物『大名焼』には特製の衣装がご用意されてるんですよ。ホラ!
料理:大名焼宴会.jpg
ざっと30年ぐらい前の宴会風景ですね。打ち掛けとかつらはやりすぎなので省略しますが、ちょんまげとかみしもエプロンはあります。けっこう油がはねる料理なので「油よけ」実利も兼ねてます。

最近のお若い方は「あくまでも自分を失いたくない」らしいですが「郷に入っては郷に従え」の故事にもあります。旅に出た時ぐらい変わったことも挑戦してみてはいかがでしょう?
ちなみに、女子からすると多少ユーモアを解してくれる男性の方が、魅力的だそうですね★

7月・8月限定のお茶~夏抹茶・氷点て

実は御宿さか屋はお茶にもこだわっているのです。

お部屋にお出ししているお茶は本場静岡市から毎週届けてもらいますが、コレが意外に人気です。緑茶とほうじ茶の両方をご用意しており、これまたどっちも美味しい。ほうじ茶マニアの方も絶賛した「ほうじ茶」はお腹に優しくて、譲ってと言う方も。

もうひとつはご到着の際のお茶。こちらは京都から取り寄せている特別なお茶です。7月8月の2ヶ月間だけ【氷点て(こおりだて)】を実施しています。
夏茶・氷点て-2-00040.jpg
最近はどこでも抹茶を呈する宿が増えましたが、たぶんあまり見ないスタイルだと思います。きんきんに氷で冷やした水で抹茶を点てます。お湯で点てるのより3倍以上難しい…!なかなか泡立たないのです。技術がとおぉっても必要なので、もしうまく点ててなくてもご容赦下さい。でもお味は本当に美味しいですよ。

実は両親の仲人がお茶の先生で、しかも偉い人なのです。私にとっては親代わり…ビシビシしつけられましたが、プレッシャーに負けてお休み中…。でもお茶を点てるのだけは「数をこなしてるから、とっても上手」とほめて貰えます♪

最近このお茶に、お褒めのお言葉を頂く事が多くなりました。「来年もこの時期に来ればこのお茶が飲めるのね?」と言ってくださる方まで…ありがたいことです。
静岡のお茶屋さんは「ペットボトルのお茶が主流になっちゃって、いわゆる茶葉が売れなくなってしまった。お茶離れかなぁ…」と嘆いてましたが、本当のお茶の美味しさを感じる方は反対に増えているような気がします。これもペットお茶がお茶のすそのを広げたのでは?さか屋のお部屋でもぜひお茶を飲んでみて下さいませ。茶葉のよさが分かりますよ。